どくしょかんそう文 麦本三歩の好きなもの 住野よる

 とにっっっっかく表紙が”良い”

 

 私は書店を歩いていた。その時、運命といわんばかりにこの本とのファーストコンタクトを果たしたのだ。

 かわいらしいピンク色の部屋の中にいる主人公と思わしき女の子が私の頭の中で寝息を立てているのが、表紙を見た瞬間すぐにイメージで来た。

 その時点でもう、カワイーーーーーー!!!!!買う!!!!といった感じなのだが、本についている帯を見たときその考えは変わり、私のために作られた本だな、買わせていただく、という気持ちになった。

 

 ”好きなものがたくさんあるから毎日はきっと楽しい”

 ”心温まる日常小説”

 

 この売り文句、最強である。

 勉強エンドレス劇場ー学校の底辺ーというタイトルのドラマで主役を務めている私にとって、心温まる日常を思い出させてくれる小説はもはや自信をこの世につなぎとめてくれる唯一の糸だといっていい。

 (こうしていってみると衛宮士郎にとっての衛宮邸みたいじゃない?)

 

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 とにかく、家に帰り、私はこの本を一気読みした。

 

 素晴らしい。

 

 最初は、麦本三歩って仕事でめっちゃミスしてるし、信じられないくらい噛むし、めっちゃ怒られてるし、ちょっとやばい奴なんじゃないのって思った(自分のことは棚に上げる)のだ。

 しかし、中盤になり、先輩の話を真摯に聞き、男友達のメンタルを回復させ、友達のことを尊敬し、一緒に温泉旅行に行ってくっそ楽しそうにしている三歩をみて、考えは変わった。三歩、めっちゃいい奴!

 しかしのしかし、終盤、スポットライトは、三歩の自身の天然な部分、個性的な部分に当たる。この日常の中で三歩の人間臭いところは何度も見てきたし、読んでいくにつれてやばい奴疑惑はすっかり鳴りを潜め、まあ三歩ちゃんなら何にもないところで転んだり、大食いキャラだったりしても、それはただの個性でむしろかわいいわよお~というおばさん面をしながら読む感じになったのだが、だが、

 

「おめえ、天然キャラでゆるふわしててあざといんだよ、なんかむかつくんだよ(超意訳)」

 

みたいなことを先輩が言ってきたときはジェットコースター急降下したとき並みに一気に現実に引き戻された。

 

 に、日常だこれ!!

 

 そう、私たちの普段送る日常は、楽しいことばかり起きるわけではないし、自分だけに都合のいいことの起こる優しい世界ではないのだ。

 かなしいね。

 それでも、未来に起こりうる楽しいことを思い浮かべ、楽観的にほわほわと楽しく生きている三歩を見て、私自身も未来に希望が湧いてくるような気がした。

 

 楽しかった思い出をもう一度味わいたいなら、また新たに食べるしかないのだ。

 

 とりあえず、私は三歩を心の師として仰ぎ、今日発売の同シリーズの2巻目を早急に購入し、住野よる神先生の書籍を買いあさることを深く心に誓った。

 

 

 

 

 

 

                         

 

 

 

                         麦本三歩の好きなものはいいぞ